Hikachan115’s diary

白いねこヒカちゃんが好きなことを呟きます。主に映画や本、ゲーム、マンガなどです。小難しい考察はせず楽しむのが主義です。

映画 「アップグレード」 人類はAIによって進化する?いや、違うらしい 【ネタバレなし】

 

TikTokに紹介が上がってきたのでなんとなく観始めたら面白かったこと。
サイバーパンクものが大好きですが、特に機械が喋ったり、ロボットやアンドロイドが出てくると楽しくて仕方ありません。

監督・脚本のL.ワネルは「ソウ」「インシディアス」シリーズや「透明人間」等で知られる人ですね。

 


舞台は近未来、街はドローンにより警備・監視され、殆どの車は自動運転、住居もAIが設備されたハイテクです。
主人公グレイ(ローガン・マーシャル・グリーン)は妻のアシャと共に若き天才発明家にして巨大企業ヴェッセルの社長であるエロン(ハリソン・ギルバートソン)を訪れます。グレイは自動運転システムのない旧型自動車の整備士で、修理の済んだ車をエロンに届けたのでした。その際、エロンは自分の発明である超構成のAIチップステム(STEM)を見せます。

 

その帰り道、グレイとアシャの乗る車の自動運転が制御不能となり怪しげな場所で事故を起こします。そこへ現れた数名の男達によりアシャは殺され、グレイも銃撃を受け半身不随となってしまいます。
絶望するグレイにエロンはステムを体内に埋め込む実験を提案しました。ステムに関しては絶対秘密であるとの約束でグレイは手術を受け、身体を動かすことが出来るようになります。

 

H.ギルバートソンは不思議なキャラが似合います

一方で彼は自分を撃ち妻を殺した男達の正体を明かそうとしていました。警察官のコルテス(ベティ・ガブリエル)は手掛かりがないと言い、グレイはブチ切れ自ら捜査を始めます。
すると何処からか声がします。ステムが体の中から彼に話しかけているのでした。

ステムはグレイの体を通して情報を収集したり、制御の許可があれば超人的な動きで格闘することも可能にするのです。犯人グループの一人、また一人と見つけ、リーダーらしき人物フィクスの存在を知ります。そしてフィクスとその配下の男達も体に武器を埋め込まれたハイテクだったのです。
ところが、ステムの情報が外部に漏れるのを怖れるエロンはステムをシャットダウンしようと試みます。

 

L.M.グリーンがトム・ハーディと似ていると思う人が多いようで、私も最初そう思ったのですが、「SHOGUN」や「Warare」のコズモ・ジャーヴィスにも似ている気がします

 

グレイとステムのバディものかと思いきや、実は全てある「物/者」によって仕組まれていました。また、黒幕はアシャの勤める会社かなと思ったら、それもまた違っていたのです。
全てがAI等のシステムで管理されている訳でなく、アナログも健在なためそこが抜け道となっている部分もあります。サイバーパンクものは大好きですが、結局アナログが一番強くない?と思うことは多々ありますね。

 

グレイはステムにより超人的動きが出来るようになりましたが、40代ぐらいの彼には体力的限界があるんじゃないの、とちょっと突っ込みたくなりました。階段を駆け上がるところとか、心臓が...ってならないのかなって。


エロンは何故自分で試さなかったのか。映画ではたいてい発明者自身が自分で試してますから。(そして失敗してる)どこか信用していなかったのか、それこそラストで明らかになる黒幕の判断によるのか。いずれにせよ、若くてキレイ系だけれどオタクっぽい彼では体力的に無理、格闘なんて尚更、だったのでしょうかねぇ?

 

ストーリーは明快、全てがラストで明かされます。約1時間半と長くはなく、テンポも良いので一気に観ることが出来ます。
ステムがシャットダウンされようとした際、助けを求めた凄腕ハッカーのジェイミー。彼女は廃墟のようなアパートにおり、その周りにはVR世界に数週間も浸り現実逃避する人物達がいます。ジェイミーは自分の名前じゃないし、性別も訊くなと言う、ハードな人です。この人のスピンオフが観たいですね。


そしてラストにはタイトル回収されますが、アップグレードとは人類のアップグレードではなかったのです。近年の近未来ものは大概この方向でストーリーが締めくくられてますしね。恐らくは避けられない結末なのでしょう。
それにしたって、グレイとステムのバディ感は良かったんです。だから残念!

 

フィクスの手下のやられ方がグロいのでご注意願います。ホラー映画の監督だから仕方ないですね。
因みに私は「ソウ」シリーズを観ていません。

 

映画 「オブセッション 災愛」 おまじないグッズも控えめに、自己責任で 【ネタバレなし】

 

低予算で製作されたにも関わらず大ヒットと話題になっていますね。
ジャンルとしてはホラーでいわゆる人怖系ですが、オカルト的なものも感じる怖さがあります。ジャンプスケアもグロい描写もあり、メンタル的にやられる映画です。

有名な「猿の手」に似ていると指摘される方も多いですね。類似した教訓を発するストーリーでもあります。

 


主人公ベア(本名はバロン)はニッキーという同僚に片思い中でした。彼女には自分の気持ちを言い出せない臆病な男性です。
ある日たまたま立ち寄った店が呪いやおまじないグッズを売る怪しげなお店。そこで彼は「One Wish Willow」なるものを発見します。

 

たった$6.99!円安じゃなかったら箱買いだね!


たった一つ、願いをこめてこの枝を折ると叶うとパッケージには書かれています。パーティグッズみたいなものなのでしょうが、ベアは購入します。

 

ニッキーに本心を告げられないまま、ふとその枝を取り出して願をかけながら折るとあら不思議!ニッキーの方から積極的な態度に。(パッケージから取り出すと如何にもおもちゃっぽい音が出て笑えます)


いままでモテた経験のないベアは最初は戸惑いますがやがてラブラブに。二人は一緒に暮らし始めるのです。
しかしニッキーの様子がおかしくなってゆくことにベアは気付きます。それは尋常でない異常さなのでした。(ニッキーの顔が見えないところにとてつもない怖さを感じましたね)

 

ニッキーは作家を目指しています

自分の気持ちを表現できない、多くの人がそんな臆病さを持っています。傷付きたくない故の心の防御システムですが、それを乗り越えねば好きな相手と心を通わせることはできません。言葉に出来ずとも、行為で表現することが出来ます。
しかしベアは努力を一切しないのでした。願いを叶える怪しげで子供騙しに見えるおもちゃのようなものに頼り、しかもそれが効いてしまうのです。


恐らくは得体の知れない力が働いているのでしょう。ニッキーは自分の意志に反しベアを好きになる、と言うよりは執着し始めます。一方で、謎の力により抑え込まれたニッキーの本心は激しく抵抗します。それはまるで悪魔に取りつかれたリーガンのようにも見えてきます。

 

サラ(左)はベアの同僚であり友人、本当はベアのことが好きみたいです。彼女にしとけば良かったのに。

この映画で伝えられるのは、相手のことも考えず、せめて心を開かせる努力もせず、むりやり心を支配しようとする行為の愚かさと卑怯さでしょう。
友人のイアンも同僚のサラもこの災難に巻き込まれ、ベアはニッキーを元に戻すためには高い代償を払わねばならぬと気付くのでした。

 

同僚で友人のイアンにベアは逆の願いをしてくれるよう頼みますが、イアンは信じません。ふざけて彼がしたお願いとは!この次のシーンが一番好きです(笑)


「人を呪わば穴二つ」と言いますが、おまじないも同じですね。人の心をそんなもので変えようなんて、結局、自業自得の結果が待っているだけなのです。

 

ベアが最初に購入した時は女性が店員でした。もう一度行くとこの胡散臭い男性が店に。何やら訳知り顔です。もしかして黒幕か?(いや違うと思いますけど)

監督のカリー・パーカーはまだ26歳。「トーク・トゥ・ミー」のフィリップウ兄弟のようにYoutubeなどに動画を上げていました。

ベアに対しては反感しか抱けないのに、何故か苦悩する姿に吸い寄せられるかのように同調しようとしてしまうのです。そして次のシーンには大抵、何らかの大きな音が出て、はっと我に返る、を繰り返したのでした。

この歳で凄いですね、この監督。もしかしてあのグッズ、使ってる?

 

追記:アマゾンで売ってるんですね。びっくり!

amzn.asia

 

映画 「プロジェクト・ヘイル・メアリー」 いまだにレビューが書けません(涙)

 

3月末と4月上旬、2度劇場に足を運んでいます。

原作も読みました。

公開前から楽しみにしていたんです。

2度目はIMAXで。宇宙の暗黒をグレースが目の当たりにするシーン、ペトロヴァラインのサンプル回収シーン、そして惑星エイドリアンでのタウメーバ回収シーンをもっと迫力ある画面でと思ったからです。

ワタクシごときがレビューするなんて。しかも言葉が尽きないのですよ。

映画も良かった、原作も良い。良い、良い、良い。

だからいまだに書き終えることができません。

日本ではグッズを手に入れることが難しいです。それでもTシャツ(半袖・長袖)は3枚手に入れました。

いずれ投稿できる日が来ることでしょう(祈り)

映画 「ホテル・ムンバイ」 約2時間続く緊張感 宗教・人種に対する先入観についても考えたくなる作品 

 

「ホテル・ムンバイ」は実際に起きたムンバイ同時多発テロにおいて攻撃の的となった場所の一つ、タージマハル・ホテルでの出来事を元に脚本が書かれました。
先日観た「Pressure」で監督・脚本を手掛けたA.マラスの作品です。ここでも同じく監督・脚本をこなしています。
ムンバイ同時多発テロは2008年に起き、また本作は2018年に公開となりました。

 

あらすじ
ストーリーはインドに入国したテロリスト集団が復讐のグループに分かれ、駅やカフェを攻撃する場面から始まります。そしてタージマハルホテルに観光客を装って入り、無差別殺人を始めます。


タージマハル・ホテルで働くアルジュンには身重の妻がおり、その日は遅刻して職場にやって来ます。しかも靴を忘れサンダル履きという始末。VIP接遇からは外されレストランのウエイターを任されます。
多額のチップを得るチャンスは失ったものの、料理長オベロイの「お客は神である」の指示に従い丁重に対応します。すると階下から銃声が響き、レストラン内にいる全員が身を伏せ息を呑むのでした。

 

赤ちゃんを連れて息を潜めるのってキツイ

 

一方、テロリスト達は皆、若者でした。彼等は「ブル」と呼ばれる人物の指示に従っています。ブルは彼等に「奪われたものを取り返せ。天国はお前達を待っている。」などと叱咤激励します。テロリスト達は水洗トイレを見たことがない、ピザなど食べたことのない、恐らく貧しい育ちの者達なのでしょう。

 

水洗トイレを初めて見るテロリスト 21世紀だよ?

インド国内だけでなく海外のメディアでも事件が報道されています。アルジュンの妻も不安気にTVで流れるニュースを見ています。インドの警察はホテルの前で様子を伺っていますが、同時多発テロであるため分散され、テロに対抗する力はありません。ニューデリーの国家保安警備隊を待つしかないのです。それでも4名の警察官がホテル内に侵入します。テロリストの一人イムランを負傷させることが出来ましたが、銃弾不足のためにあえなく撤退です。

 

オベロイは6階にあるチェンバーズ・ラウンジに客を非難させます。そこは一般客の入れない高級クラブであるため、出入り口が特殊な構造になっているのでした。しかし、ロシア人の富豪で元特殊部隊将校のゴルデツキーやデビッドの妻ザーラなど数名はオベロイに反発し、ラウンジを出ます。

 

客の命を守ろうと頑張るオベロイ

 

ブルは作戦の変更を命じました。人質を取れと言います。最初の人質は建築家のデビッドでした。その後、ゴルデツキーやザーラ達も捕らえられ一室にイムランの監視下、監禁されます。
怪我を負ったイムランは両親に電話をします。彼は父親にブルが約束した報酬を受け取ったか尋ねるのですが、父親の返事はNoでした。しかし父親は金の事より彼のことを何よりも心配しており、家族がどれだけ彼を愛しているかを伝えようとするのでした。

 

イムランは訓練として報酬付きで連れられたようです

ようやく国家保安警備隊も到着、突入作戦が開始されます。ブルはテロリスト達にホテルを焼き払うよう、イムランには人質を殺すよう命じるのでした。

 

人質達を前に夜明けの祈りを朗誦するイムラン

 

感想

約2時間の間、ひたすら緊張感が続くサスペンスドラマです。状況は違えど、この作品も「Pressure」のように時間との戦いが描かれます。
ここではブルを通して彼等の行為が宗教的信仰信念に基づくように描かれていますが、実際のところはインドーパキスタン間の政治的対立など複雑な事情も絡んでいます。
それでも、宗教は重要なポイントであることに変わりはありません。
ブルは彼等の行為を「ジハード」、聖戦として正当化します。

 

一方、アルジュンは敬虔なシーク教徒であり、頭には黒いターバンを巻いています。ラウンジに避難中、一人の女性客は彼のターバン姿と髭を怖がります。けれどアルジュンは女性客に近付き、ターバンは彼が子供の頃から外すことのない、勇気と誇りの証であると語ります。アルジュンの誠実な説得は女性客に伝わったのでした。ところが、別の女性客が負傷したのを見て、彼はターバンを外し止血に使います。確かにターバンは彼にとって信仰と誇りの証ですが、人命には代えられぬと判断したのでした。

ここがテロリスト達と比較されるところでしょう。信仰の下、無差別に人々の命を奪う理不尽さ。

また、同じイスラム教徒でもイムランの両親も信仰に対して誇りを抱いている様子が表れています。

 

怖がる女性客に自分の信条を語るアルジュン 如何にも偏見が多そうな女性

 


A.マラスは緊張感を描くのが得意な監督なのではと思います。しかし、ただ緊張感ある場面が続くだけでなく、強い心情的な場面もあります。


印象的だったのは、アルジュンが警備室の中で複数のモニターの中から、銃弾を受け事切れた様子の同僚を見つける場面でした。本来ならその日、アルジュンはそこで接遇し多額のチップを受け取る筈だったのです。しかし靴を忘れたばかりに彼はその役を外され、命拾いしたのでした。

 

モニターに映るのは...


また、ザーラは実はイスラム教徒でした。ブルの指示に従いイムランは人質達を一人づつ殺害してゆきます。ところがザーラの番が来た時、ザーラはイスラムの祈りを口ずさみ始めます。結局イムランは彼女の命を奪えませんでした。

同じ言語を話し同じ宗教を信仰する相手を殺すことが出来ない。それはイムラン自身の信条であるのか、イスラム教徒に共通するのかは分かりません。けれど、監督A.マラスがギリシャ系或いはキプロス系であることを考慮すると、それは監督自身の想いが反映されているのかなとも思うのです。ギリシャ人或いはキプロス系、若しくは東方教会の信者はその傾向があるように思われるからです。

 

イムランはザーラを撃つことに激しい躊躇いを感じます

 

映画の始まりはテロリスト達の描写でしたが、その後、身重の妻と別れ出勤するアルジュンが登場します。そして映画のラストは生き延びて妻と再会するアルジュンの姿となります。「Pressure」のスタッグとリズやん、と思ってしまいました。マラス監督、こういうのが好きなんでしょうか。

 

デヴィッド役のA.ハマー、ギャスパー・ウリエル、もしくはダン・スティーブンスにとても似ている?

デヴィッド役のA.ハマーについては良く知らないのですが、若くして亡くなったG.ウリエルと似ているなと。

 


A.マラス監督はオーストラリアで生まれ育ったキプロス系、或いはギリシャ系なのでしょう。だからなのか、映画の序盤で殺害されてしまう高齢の女性客がいきなりギリシャ語を喋るのにはびっくりしてしまいました。

ギリシャ人の方でした。可哀そう...

 

ホラー映画「トーク・トゥ・ミー」でもラストで唐突にギリシャ語が出てきましたからね。監督は恐らくキプロス系のフィリップウ兄弟。
こういうの、もっとあると楽しいかも(笑)
(実はワタクシ、ギリシャ語をネイティブレベルに話せるのです)

 

映画 『Pressure』 人工衛星のない時代に気象予報をするってことは 【ネタバレなしで】

 

 

 

日本での公開はないようで、仕方ないとは思います。それでも一定数の歴史オタクやジャンルを選ばない映画好きは沢山いる筈ですけどね。

 

説明するまでもなく「Pressure」とはダブルミーニング、気圧と精神的なプレッシャーを意味しています。3時間越えの作品が多い昨今、1時間40分によくまとめてくれました。重圧感の中、戦争の勝敗と多数の人命に関わる判断をしなければならない二人の人物と共にプレッシャーを感じているうち、あっと言う間に時間が過ぎてしまったという感じでした。

 

あらすじ

ストーリーは第二次世界大戦終盤、連合軍がフランス北部のノルマンディーから上陸計画を立ていました。それはドイツ軍制圧に関わる極めて重要な作戦であり、失敗は許されません。ところがその決行すべき日、稀代の悪天候に見舞われる恐れがあるとの予報が出てしまうのです。次に予想される好天は約2週間後。それでは遅すぎるのです。

気象官のスタッグは如何にもイギリス人って感じです

延ばすことの出来ない作戦決行日。しかし兵士達を危険に晒すことは出来ません。アイゼンハワー(B.フレイザー)は過去の失敗を思い起こしては痛みを噛みしめ、二度と失敗したいという思いが強まるのです。彼はまた、最終的決断は彼に委ねられており、また全責任は自分にあると何度も口にするのでした。

 

とてつもない低気圧が大西洋から北上していました

気象官スタッグ(S.スコット)は英国で最も優秀であるとチャーチルから推されてやってきます。しかし気圧配置や過去の気象データから判断するに、作戦決行日である6月5日は二つの台風級低気圧が北フランスを覆い、暴風雨により視界も覚束ないと意見します。

 

スタッグとクリックは対立します

一方、アメリカの気象官クリック大佐は作戦決行を支持。スタッグはクリックが過去にあった悪天候による作戦失敗のデータを無視していると訴えるのでした。
モンゴメリー(D.ルイス)など錚々たる顔ぶれの集まる会議で結局、作戦は延期と決まります。

 

重苦しい面々です

一方、スタッグには臨月の妻リズがいました。住居のある区域がドイツによる空爆を受けたことにより、大勢の負傷者が病院に搬送され、スタッグの妻もその一人であると連絡を受けます。しかしその生死については明らかにされません。彼は病院に走ることも許されない切迫した状況にありました。不安を隠し彼は任務を続けます。
アイゼンハワーの私設秘書であるケイは、病院に行って状況を把握したいとアイゼンハワーに願いますが、許可を得られませんでした。

(リズの安否については映画を観てご確認ください)

 

ところが、スタッグの気象解析チームにある知らせが届きます。アイルランドの民間観測者から低気圧に「割れ目」のようなものがあると。スタッグは対立していたクリックに意見を求めると、クリックは驚きつつも賛同しました。そしてノルマンディー上陸は6月6日に決行される運びとなりました。

 

 

史実の人物に必ずしも俳優を似せる必要はあるのでしょうか?

歴史的事実なので私達は既に結果を知っていますが、稀に見る悪天候の予報の中、どのような決定的出来事が起きるのか固唾を飲みながら展開を追うことになります。
時折、時計の針の音が聞こえてきます。その重圧感にスタッグとアイゼンハワーに対する思い入れも強くなってしまいます。片やスタッグの妻リズの安否が気になって仕方ありません。

 

ついさっきまでペッカペカに晴れてたのに!

ネタバレになるかどうか分かりませんが、印象的だったのは6月4日、日曜の朝の教会のシーンでした。素晴らしい晴天が続き低気圧は何処?みたいな感じだったのが、いよいよ怪しい風が吹き始め雷を伴う雨が降り始めます。個人的には一番好きな、美しいシーンだと思いました。

 

天候は急変です


フレイザー演ずるアイゼンハワーについて、アメリカ人は「似てない、大き過ぎる」と思う人が多いようです。アイゼンハワーは後に大統領にもなる人で、アメリカ国民にとって非常に馴染みのある人物であることには間違いありません。日本に例えて言うなら、昭和天皇や東条英機などの人物を似ていない俳優が演じているということになるのでしょう。

でも、実際のところどうなんでしょうね。例えば昭和天皇を本木雅弘、片岡孝太郎、尾上松也、野村萬斎、イッセー尾形、の面々が演じられています。違和感とかはほぼ抱くことなく観ているように思われます。映画やドラマなど、実在の人物に似せることに重きを置いてしまうとドラマがおざなりになってしまうと考えるのは私だけでしょうか?
いずれにせよフレイザーは失敗によって兵士等の命が失われることを望まぬ、しかも全ての責任を自分が負うと言える、人間味溢れるアイゼンハワーを上手く演じています。
まぁB.フレイザーだし、良い人感ダダ洩れですから(笑)。

アメリカ人のレビューを見ていると結構、「フレイザーは好きなんだけど」みたいなのがちらほらあって面白かったです。やっぱり人気がありますね。私がこの映画を観た理由の第一もこれだし。

 

 

A.スコット演ずるスタッグも良かったです。イギリス人らしさがよく出ており、妻の安否にも関わらず自分を押し殺す姿に、彼にかかる重圧をこちらも感じてしまうのでした。
余談ですがモンゴメリー将軍(でしたかね、当時は)を演じるD.ルイスと顔立ちや雰囲気が似ていて、「間違えないよう気を付けないと」と焦ったのでした。(いや、言うほど似てる?似てるよね?)

 

雨が降り出し将校達は慌ただしく教会を出てゆく一方、一人ポツンとクリック大佐

クリック大佐を演じるC.メッシナも非常に良かったです。スタッグに対するアメリカ人ぽさがたまりませんでした。

 

 

K.コンドンは前作の「F1」に似た役回りでしたが、息苦しいなかの清涼剤みたいでした。

 

 

さて、監督・脚本のA.マラスは名前からだけでなく、トルコの北部キプロス侵略占領を扱った作品「The Palace」から、キプロス系なのでしょうか。高評価の「ホテル・ムンバイ」にも興味が湧いてきました。閉塞感と重圧を描くのが得意なのかも知れませんね。

映画『THE MUMMY ザ・マミー 棺の中の少女』グロ表現を抑えれば上質のサスペンスホラーになったかも!【ネタバレなし】

 

ホラーは苦手なのですが評判が良いのでつい観てしまいました。怖い、と言うよりはグロい、でしょうか。

B.フレイザーは出てきませんので悪しからず。(なんのこっちゃ)

 

監督はL.クローニンで、原題は「Lee Cronin's The Mummyとなっていますね。ホラーにはあまり詳しくないので監督の経歴を知りませんが、2013年作のショートフィルム「ゴースト・トレイン」を偶然にも観ておりました。モチーフとしてはこの作品に共通するものがあるようです。

 

登場人物

チャーリー(ジャック・レイナー)ジャーナリスト

ラリッサ(ライア・コスタ)チャーリーの妻

ケイティ(ナタリー・グレイス)ケイティ

ザキ(メイ・キャラマウィ)カイロ警察の刑事

 

ストーリー

物語はあるエジプト人家族の描写から始まります。この家族の暮らす住居には地下室があり、そこにはピラミッドと巨大な棺がありました。その中にはミイラが安置されており、彼等はミイラが眠っているかどうかを案じています。そしてその目覚めを目の当たりにしてしまうのです。

 

場面はアメリカ人家族の様子に切り替わります。ジャーナリストとしてエジプトに派遣されたチャーリーとその家族は幸せに暮らしていました。娘のケイティはボーイスカウトに参加していたりと活発な女の子でしたが、怪しい隣人の女に誘拐されてしまいます。

チャーリーと妻のラリッサはカイロ警察に娘の誘拐を訴えます。英語の堪能な警官のザキが話を聞きますが、上司はチャーリー達を信じようとしませんでした。

 

カイロ警察でどうでもいい電話対応をする日々のザキ

8年の月日が流れ、チャーリーとラリッサ、息子のセブとケイティの行方不明後に生まれたモード、そしてラリッサの母親ヴェロニカと共にニュー・メキシコで暮らしていました。そこへケイティが見つかったとの知らせが入り、チャーリーとラリッサは急遽カイロへ。喜びも束の間、ケイティは激しく衰弱し、意思の疎通も図れないほどにメンタルを病んでいました。

 

ケイティとの再会の喜びより強い不安が勝ってしまいます

 

ケイティをアメリカに連れ帰り新しい生活が始まります。ところがケイティは日中は寝たきり状態、夜になると動物のように四つ足で走り回るのでした。

そこから様々な異変が起こります。ケイティの体の中からアラビア語で書かれた包帯のような布が出てきました。考古学の専門家に尋ねるとそれは呪いの呪文のようなものと分かります。また、ケイティが打ち鳴らす歯の音からチャーリーはそれがモールス信号と分かり解読。レイラという名であろうとカイロ警察のザキに問い合わせます。更にチャーリーはその人物を突き止めたのでした。

 

ザキは服装の自由も得たようですね

ザキはオフィスを与えられる程に出世していました。(ボンクラ上司は亡くなったようです)彼女はチャーリーからの情報を元に単身レイラなる人物の家へ。そこで地下の怪しい部屋を発見します。しかし住人が帰って来ていました。しかもそれはケイティを誘拐した女なのでした。(この時点でザキはそれを知りません)また、レイラ本人からケイティ誘拐の証拠となるビデオテープを押収したのでした。そこにはおぞましい光景が録画されていたのです。

 

感想

ストーリーは良い

ホラーではありますが、冒頭の怪しい家族と巨大な棺の謎を含め、ケイティ誘拐の目的を探るミステリー要素があります。また、呪いや儀式などオカルト要素もあります。

これらを踏まえ、ケイティを正常に戻すことが出来るのか、また、その方法をチャーリーとラリッサは見つけることが出来るのか、展開に引き込まれてゆきます。

 

グロ描写が多過ぎる

ポップコーンを食べながら観る映画ではないですね。グロを最低限に抑えれば良質なミステリーになったであろうに...と思ったのですが、ホラーなので仕方ないでしょうか。このジャンルの熱烈なファンの方が求めていらっしゃる、そしてそれ故に人気がある様子ですよね。

 

解決に積極的でないように思われる

多くの方が指摘するようにどこか映画「エクソシスト」に似ています。謎を解き明かす一方で、ケイティを救い家族に幸せが戻る方法を探す、或いは試すべきなのでしょうが、チャーリーもラリッサも特に何も出来ないまま事態は更に悪化してゆきます。ザキがいなければどうなっていたことやら。

 

伏線となる要素が多い

ラリッサが看護師であるのは伏線としていろいろ活きてきます。そしてケイティがボーイスカウト活動に参加していることも大変重要になってきますね。

 

 

ネタバレなしでラストを語ると

一応ハッピーエンドなのでしょうか?問題は解決されたように見えて、実は一時的でしかないような気がします。

続編が作られそうな予感もしますね。紀元前から続くこの呪いのような儀式を説明して欲しいです。因みに、悪魔的存在が出てきますが、映画のオリジナルのようです。

 

チャーリーはラスト近くで頑張って父親らしさを見せてくれました。でも、身内でもないのに体を張ってくれたザキもカッコいいなと思いましたよ。

ヴェロニカは気の毒でしたね...

 

怖さより気持ちの悪さが後を引くけれど、ホラー・ミステリー・オカルトが程好くブレンドされ過剰なグロで味付けされた映画です。

ジャンルを好まれる方、耐性のある方は是非ご覧になってください。

 

 

 

 

映画 「HELP/復讐島」S.ライミ監督らしさ全開のミステリー 自分にはちょっとモヤモヤが残ったけれど【ネタバレなし】

 

S.ライミ監督作なので期待値は高めで観始めました。

ストーリーの展開も早く、何時、どのようにこの島から脱出できるのか、助けは来るのか、主人公とパワハラ上司の間に新たな関係性が生まれるのか、などなどラストに向けてこれらが回収されてゆく過程を追ってゆくことで113分も短く思えましたね。

 

コンサル会社で働く主人公リンダ(R. マックアダムス)は有能だけれど不快感を覚えるレベルにダサい。昇進を期待していたのに新しくCEOに就任したブラッドリーは彼女より後に採用されたドノヴァンを優遇してしまう。

リンダはブラッドリーとドノヴァンほか二人の重役と共にサイパンへ出張することに。搭乗した機内ではドノヴァンらがTV番組「サバイバー」オーディションを受けるリンダの動画を見て大笑いしていました。ところが飛行機は不具合を起こし海に墜落します。リンダは辛うじて脱出、生き延びたのでした。

同性でもドン引きですが、ライミ監督はこのような嫌悪感を抱かせる演出が得意です。「スペル」(Drag Me to Hell)を思い出しました。

 

タイの孤島に辿り着いたリンダはブラッドリーも打ち上げられているのを発見します。ここから二人のサバイバル生活が始まり、リンダはその能力を存分に発揮します。

 

こんな小屋も建てて悠々自適にすら見えます

リンダは孤島でのサバイバルライフを楽しんでいる様子ですが、ブラッドリーは当然のことながら早く帰りたくて仕方ありません。

彼なりに脱出を試みたりもするけれど、上手く行きません。彼にはサバイバルの技術はなく、リンダに頼る他ないことも苛立ちを感じでいるようです。

対立する二人ですが、孤島に男と女、ロマンス的なことはあるのか?と思いきや結局は二人の間にあるドロドロした感情が噴出するだけのようです。

 

ストーリーのポイントはどのように二人がこの島を脱出するか、でしたね。そのチャンスが訪れるのか、それとも自分達で作るのか。

ブラッドリーは嫌な奴ですが島から早く出たい気持ちは分かります。そして島の生活を満喫しているリンダに違和感しかありません。彼女にはアメリカに戻るつもりはないのかとすら思えてきます。島の生活が彼女には快適過ぎるからです。それはリンダのサバイバル知識と技術によるものだけではありませんでした。そのヒントが2つあります。

 

ちょっとネタバレ?ヒント的な...

リンダが浜で見つけたと言うナイフ(左)。それにしてもなんですかこのオリエンタルともトロピカルともつかない食事は?

あの向こうに行ってはいけないとブラッドリーに忠告します

浜に流れ着いていたナイフで器用に調理するリンダ。また、島を探索し尽くした彼女は「あのX(エックス)に交差する岩の向こうには行っていけない、毒ツタがある」と言います。

よく準備された伏線でした。

 

 

正直、観終わってモヤモヤが残りました。リンダのキャラクターに感情移入出来なかったことに加え、彼女が一線を越えた行動を取るのがどうしても納得できませんでした。

序盤でドノヴァンが酷い目に遭うところは少しだけ「ザマミロ」と思いましたけれど、スッキリ感はありませんでした。

それに比べると「ゼイ・ウィル・キル・ユー」は爽快でしたね。 

おじさんは気の毒だったなと

超ネタバレ!(笑)リンダの留守中、インコの安否が気になってましたが無事です!

R.マックアダムスって「君に読む手紙」「アバウト・タイム」の女優さんですね。道理で見覚えがあると思いました。それにしたって凄い化けっぷり。ラストもさすがです。