Hikachan115’s diary

白いねこヒカちゃんが好きなことを呟きます。主に映画や本、ゲーム、マンガなどです。小難しい考察はせず楽しむのが主義です。

映画 『F1』 記憶を消してまた観たい! 【ネタバレあり】

movie F1

私はB.ピットが好きではなかった。(後述するT.クルーズと同じく)
所謂アイドル的大スターに興味が持てないのだ。演技よりもルックス等が重視されてもてはやされる。それは彼等自身も感じていて、抱いている葛藤なのだろうけれど。

 

「ラッシュ」「フォードvsフェラーリ」は面白かった。
「ラッシュ」ではN.ラウダのオタクさが良く、日本語は怪しかったが篠突く雨の富士サーキットの情景と音楽が素晴らしかった。
「フォードvsフェラーリ」ではK.マイルズの職人的走りとC.シェルビーの奮闘や苦悩が見事に描かれていた。
「F1」を観るにあたり自分は絶対に比較すると思った。そしてB.ピットは女性と絡んだりチャラチャラしているんじゃないかと先入観を抱いていた。
私は間違っていた。

 

この映画でのブラピ(以降、ブラピで表記します)はかつての金髪キラキラお兄ちゃんではなかった。顔には皺が刻まれ、身体こそ良い状態に保たれているものの年齢は隠せない。そこに彼の演じるソニーの生きてきた人生、経験が滲み出ている。チームメイトのジョシュアは若いレーサーであり、その横に立つソニーはレーシングのみならず人生経験の先輩なのだ。当然だがそれぞれの視点は違い目的も異なる。ソニーの老獪とも取れる言動が渋い。

 

30年ほど前、ソニーはF1レーサーであった。しかし大事故による負傷後F1からは退く。そしてアルコールやギャンブル依存症、複数回の離婚、賞金稼ぎのレース参加などその日暮らしをしながら各地を転々としていた。そこからのカムバックである。
話を持ち掛けたのはかつてのパートナー、現在は入賞はおろかポイントすら稼げていないチームを所有するルーベンだった。復帰した時点でソニー自身自分のカムバックの本当の理由を見出してはいない。

ストーリーは至ってシンプル、王道である。最下位のチーム、クルー等もミス連発の惨状だが、ソニーの存在により結束力が高まってゆく。そして最初は「年寄り」「高齢者を採用した」と揶揄するジョシュアもチームワークの重要さに目覚めてゆく。
この映画はアラ還に刺さるのではと思った。これまでの人生の折り返し地点、自分の積み上げたものの価値と意義を再確認すること、それはまさに現在の自分が直面していることだった。

物語の冒頭、ルーベンの誘いを受けた直後、ソニーはダイナーのウェイトレス女性に尋ねる。「100%ポジティブなオファーを受けたらどうする?」「幾ら貰えるの?」「金の問題じゃない」「じゃあ何が問題なの?」(大雑把な訳です)「金の問題じゃない」このセリフはラストにも出てくる。

ラストシーンはソニーが海岸を沿うようにバハ1000バギーを駆る場面で終わる。彼の表情は晴れやかだ。海は穏やかに凪ぎ、冒頭の荒れた海とは真逆である。それはソニーの心情を表しているのだ。

 

話はそれるが、私はT.クルーズも好きではなかった。けれど「トップガン・マーヴェリック」でやっと彼の演じるキャラクターに感情移入出来た。
未だ現場主義を貫き現役パイロットしであるピートは「まだその階級か?」「今まで現役でいられたのも運が良かっただけだぞ」みたいなことを言われてしまう。
それはまさに当時の私自身が抱えていたことと同じだった。でもこの映画を観て、戦闘機をバイクで追いかけながら満面の笑みを浮かべるピットの姿に、自分はこれでよいのだと納得出来た。
そうなのだ、「F1」も「トップガン・マーヴェリック」もアラ還映画なのである。

 

前述の通り、ボディ等もかなり維持出来ているもののブラピの年齢は隠せない。トムも然り。魅力と若さで輝いてきた彼等が今度は渋さで勝負し始めたのだ。
今時の50代60代はまだまだイケている。人生経験があるので若い世代のようにがっついておらず余裕がある。しかしそんな彼等でも葛藤がある。ミドルエイジクライシスにより仕事を辞めバイクで世界一周に行ってしまった知人もいる。
若い頃の自分探しとは異なり、これまで自分が歩いて来た道を振り返り再確認し、新たな目標、或いは遣り残しや漏れを埋める旅が始まるのだ。こういうおじさん達はカッコいい。そう、ブラピもトムもおじさん、30年ぐらいまえだったらおじいさん扱いされていた歳だものね(苦笑)。

 

 

ここからはちょっとネタバレ要素が…

ジョシュアが事故を起こした際のお母さんのセリフにちょっと傷付いたワタシ。
そもそもジョシュアが自ら事故を引き起こしたのだし、ソニーはレースを中断して彼を助けたのに?ソニーも自分の事故経験があるから彼を救おうと必死だっただろうに。
結局ジョシュアは自分の過ちに気付きお母さんにも話す。良かった!

ソニーはレース前に必ずトランプのカードを一枚ポケットに入れる。そのカードが何なのか一度も見せられることはない。そして優勝後、車の中でソニーはカードを確認し、微笑む。「やっぱりね」と言いたげな表情に見える。
スペードの7だったんじゃないかな。彼のユニフォームにも付いているし。未見の方は注意してみて。

 

実は配信で観たのでそれなりの臨場感は味わえたのだけれど、やっぱり映画館で観ればよかったと後悔。上映館を探すも時すでに遅し!(涙)

後光が差していると言われるソニーが戻って来るシーンを劇場で観たかった!(いや、レースシーンじゃないの?)

ほんと、記憶を消して映画館で観たい!

サウンドトラックも最高!)